国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

助動詞の活用を理解する前に、時制を理解してしまおう!「助動詞の組み合わせ」 使える助動詞の理解6 古文文法

今日は時制から助動詞の組み合わせについて学びましょう。

助動詞の組み合わせにはある程度のパターンがあるんですね。使える助動詞にするためには本文に出てくる形を意識することが重要です。

夏休みもずいぶん進んでまいりました。

助動詞の活用に入るはずなんですが、まあ、漢文をやったり、感想文をやったりと、なかなか前に進みません。

早く助動詞は終わらせて、敬語とか読解の実践、そうそう、あとは単語もまとめる約束をしておりまして、そんなことをやってみたいんですが、なかなか、学校の先生も夏休みになったからといって、暇になるわけではなく、夏期講習から始まり、クラブ関係などなど、ふだんより休みがなくなるんですね。みんなではないかもしれませんけど。

という言い訳はおいておきまして、古文に戻ってまいりました。

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助動詞の意味をもう一度復習

ここまで、助動詞については、「接続」「意味」「活用」の三つについて整理することで、説明してきました。といいながら、まだ、活用については説明していません。とはいえ、接続と意味の整理ができてしまえば、品詞分解ができるというところまで、持ってきています。

一応、ここまでの説明です。

 

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抜粋していますので、本当は順番に全部読んでほしいところ。

で、「意味」ですが、

  1. 当たり前グループ=打ち消し・断定
  2. 現代語グループ=受身・使役
  3. 時制 

でしたね。

3の時制はさらに

  1. 過去形と未来形
  2. 進行形(存続)と完了形

でした。

過去形は「た」

未来形は「つもり」「だろう」「ような」+二人称

進行形は「ている」

完了形は「てしまう」

ですね。

もちろん、完了形は「てしまう」といいながら、「た」と訳したり「てしまった」と訳したりします。これは、現代語の日本語から、完了形が消えてしまっていることが一番の原因です。だから、英語の完了形も、○○用法みたいな形で、訳し分けないといけなくなっているわけですね。

 

英語で考えると…

そんな風に考えてくると、英語では、時制はこの4つだったかといわれれば、そうではなかったはずです。

現在進行形、現在完了形とやったら、

過去形を習ったあとに、

過去進行形、過去完了形をやりましたよね?

未来形を習ったあとに、

未来進行形、未来完了形をやりましたよね?

そもそも、「た」と「だろう」は組み合わせられませんが、「ている」と「てしまう」は組み合わせれば、

「ていた」「ているだろう」

「てしまった」「てしまうだろう」

という日本語ができあがります。

こうした形が当然4つある、という風に考えることができます。

ていた=進行形+過去形

ているだろう=進行形+未来形

てしまった=完了形+過去形

てしまうだろう=完了形+未来形

という感じです。

ちなみにですが、この順番は逆にできません。やってみてください。

「た」「ている」…

無理ですよね。

助動詞にはつく順番があって、この順番は入れ替えることがほとんどの場合、できません。

この間、係り結びの話をしました。 

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 「助動詞は終止形、連体形、已然形を必ず必要とする」

と説明しましたが、裏を返せば、未然形、連用形はなくてもいいということです。

逆に言えば、未然形、連用形を持つ助動詞は、下に未然形接続の助動詞「む」が来たり、連用形接続の助動詞「き・けり」が来たりする、ということなんです。

「む」「き・けり」のあとには助動詞はつきません。だから、未然形や連用形を持つ必要がない、ということでもあります。

ちなみに「けりをつける」という言葉は、「蹴飛ばして別れる」のではなくて、「助動詞の『けり』をつけたら、文が終わる」ということです。ピリオドを打つ、とか、終止符を打つ、とかと同じです。

戻ります。

ということは、完了の助動詞「つ・ぬ」と存続の助動詞「たり・り」は、未然形と連用形につくわけですが、多くの場合、それは、「き・けり」「む・べし」との組み合わせである、ということになってきます。

だったら、その形を覚えておく、というか、知っておくのはとても有効なことですよね。

というわけで、今日の解説をしています。

 

過去進行形

進行形=存続「たり」「り」+過去形「き」「けり」の組み合わせ

訳:ていた。

咲きたり+き=咲きたりき

咲きたし+けり=咲きたりけり

咲けり+き=咲けりき

咲けり+けり=咲けりけり

未来進行形

進行形=存続「たり」「り」+未来形「む」「べし」の組み合わせ

訳:ているだろう・ているつもりだ・ているような・ている二人称

未来の訳の詳細は、 

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 でどうぞ。

咲きたり+む=咲きたらむ

咲きたり+べし=咲きたるべし

※べし=終止形接続ですが、ラ変型「~り」の「たり」には連体形につきますね。これは、本来、uにつきたいのに、ラ変だけは変なので、終止形がiになってしまうからです。uになるのが、ラ変だけは連体形であるということ。でも、「べし」をつけて、「咲きたりべし」って変ですから、気づきますよね?

咲けり+む=咲けらむ

咲けり+べし=咲けるべし

過去完了形

完了形「つ」「ぬ」+過去形「き」「けり」

訳:てしまった。

咲きつ+き=咲きてき

※実は、「つ」は人が意志をもって完了させる、「ぬ」は自然と完了する、という違いがあります。花が咲く、日が暮れる、などは本来「ぬ」でなければまずいのですが、動詞を変えると混乱するので、ありえませんが、「咲く」で例文を作ります。

咲きつ+けり=咲きてけり

咲きぬ+き=咲きにき

咲きぬ+けり=咲きにけり

 

未来完了形

完了形「つ」「ぬ」+未来形「む」「べし」

訳:てしまうだろう・てしまうつもりだ・てしまうような・てしまう二人称

※きっと~だろう・つもり・ような・二人称、も可。両方覚えておきましょう。

咲きつ+む=咲きてむ

咲きつ+べし=咲きつべし

咲きぬ+む=咲きなむ

咲きぬ+べし=咲きぬべし

一応、ここで注意が必要なのは未来完了形といっていますが、この場合、「つ」「ぬ」を完了形と呼べないことになっています。下に推量系の助動詞が来た場合、完了ではなく、強意と呼ぶ決まりになっています。したがって、試験では強意と答えましょう。ただし、訳は、「~てしまう推量」「きっと~推量」の二つとも覚えていないとあてはまらないことが出てきますので、注意。

こうした用法を確述用法と呼びます。

下の推量系の助動詞は以下の通り。

む・べし・らむ・まし

したがって、それぞれ「つ」「ぬ」と組み合わせると

咲きてむ・咲きなむ

咲きつべし・咲きぬべし

咲きつらむ・咲きぬらむ

咲きてまし・咲きなまし

の8つが出来上がります。

完了形と進行形

 最後に英語ではない(?)パターンですね。

完了形は「てしまう」、進行形は「ている」だとすると組み合わせて、

「てしまっている」という日本語が存在します。

とすると、

完了形「つ」「ぬ」+進行形=存続「たり」

※「り」は「りかちゃんさみしい」で、サ変の未然と四段の已然にしかつきませんから、ここにはつくことができません。

訳:てしまっている

咲きつ+たり=咲きてたり

咲きぬ+たり=咲きにたり

 

今日は以上です。形を見て、音読して口になじませておくと、パッとみて、完了とか存続とか、すぐ気付くようになります。

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品詞分解も、この話を読んでもう一度チャレンジしてみると、全部同じパターンだったことがわかります。

では。

 

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